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人間一生胸算用(にんげんいっしょうむなざんよう)

7

人間一生胸算用 07

▼開

①

こゝにあはれをとゞめしは無次郎が心なり、すこしのゆるみに
つけこまれ、このくにのあるじながらも、たぜいにぶぜい
ちからおよばず、むねの
あたりの在城(ざいじやう)を
おひ出され
すご/\と
いづくへか
おち
ゆく

②

「けちをして
おいらを
うたせた
むくひだ
これで
おもひ
しりつこ

③

「ヱヽざんねん/\
ももくりざん年
かき八年
おれはむねんで
いでかねる

④

「京伝、いゝむだも
あれども
あまり
きのどく
だから
だまつて
ゐる

⑤

「さて
みな/\
のぞみの
まゝに
心をおひ出し
心こゝに
あらざれば
ばんとうの
気は、だれ
はゞからずきまゝ
をして、ついに
無次郎がからだを
おうりやうしければ
是より無状(むじやう)
無象(むざう)国(こく)大きにみだれける

⑥

「気がいふ、ほんに
口にも久しく
土用が入るまひ
いつでもかんの内だらう

⑦

「みな/\
気に
おはむきをいふ

「アノやうな
けちな心を
みた事が
ござりませぬ
あいつは一万年も
いきる心で
ごさり
ませう

⑧

「おまへの事をば、きんじよの
むすこしうも、きのきいた
お人だと、かげでほめます

⑨

「口がいふ、わたくしも朔日、十五日に
やう/\やすひもの一まひづゝ
たべるよりほか、百五十する
ときもかつほなぞは、かいだ
事もござりません、はたらき
のあるねこには
おとりさ