①
京伝は
きのつまつ
たおもし
ろくも
ねへわる
ながき
かう
しやく
をきゝ
大キに
うち
しびり
をきらし
てゐたが
しかし
かう
しやく
おはり
善
たま
し
い
申
けるは
何
と
今からつれて行く所があるが、行て
みるきはなしか、などゝいふ
ゆへ、こいつよしはらへでも行
口ぶり、まんざらでもねへと
思ひ、こりゃァいくほうで
ごぜへせう、今からぐつと
とび出しは、おもくろ山の
むらつばめ
柳はしに
さいわい
やつ
がれ
な
じ
みの
舟やど
もあれば
サァ/\すぐいき
/\とせりたつ
れば、善たましゐ
イヤ/\ふねも
へち
まも
いらぬと
ひとこゑ
のりものこれへと
よべば、一ッぺんのくもおこり
善たましいと京伝を
のせ、どこへ行かと思つたら
京伝が東となりのうとく
なるあきんど無名や
無次郎が家に来たりけれども
だれあつてしるものなし
②
此無二郎といふは
いまだ廿二三にて
としわかなれども
じつていなる生れ
にて、なりにも
ふりにもかまわず
あさゆふそろ
ばんはな
さずよくかせぐむすこなり
今ともだちの京伝をふく中へのみこみし
事はゆめにもしらず、ひとり事をいつている
③
「おらがとなりの京伝は
さりとはべらぼうな男だ
又四五日出てうちへかへらぬさうだ
ばかにつける
くすりがないとは
よくいふたものじや
となりのせんぎで
ァァづつうがする
④
「しかるに京伝がからだ
まめ人ぎやうのごとくに
なり、無二郎がふき
出したるたばこの
けぶりにつゝまれ
無二郎がからだの
うちへはいりけるぞ
ふしぎなり
⑤
「ハイ
ひへ
もの
で
ござい
ご
めん
な
さい
⑥
「いま/\しいやつだ
おれが事を
くそのやふに
いやァがる
くさめ/\