お江戸のベストセラー

人間一生胸算用にんげんいっしょうむなざんよう

3

人間一生胸算用 03

京伝は
きのつまつ
たおもし
ろくも
ねへわる
ながき
かう
しやく
をきゝ
大キに
うち
しびり
をきらし
てゐたが
しかし
かう
しやく
おはり

たま



けるは


今からつれて行く所があるが、行て
みるきはなしか、などゝいふ
ゆへ、こいつよしはらへでも行
口ぶり、まんざらでもねへと
思ひ、こりゃァいくほうで

ごぜへせう、今からぐつと
とび出しは、おもくろ山の
むらつばめ
柳はしに
さいわい
やつ
がれ


みの
舟やど
もあれば
サァ/\すぐいき
/\とせりたつ
れば、善たましゐ
イヤ/\ふねも
へち
まも
いらぬと
ひとこゑ
のりものこれへと
よべば、一ッぺんのくもおこり
善たましいと京伝を
のせ、どこへ行かと思つたら
京伝が東となりのうとく
なるあきんど無名むめい
無次郎が家に来たりけれども
だれあつてしるものなし

此無二郎といふは
いまだ廿二三にて
としわかなれども
じつていなる生れ
にて、なりにも
ふりにもかまわず
あさゆふそろ
ばんはな
さずよくかせぐむすこなり

今ともだちの京伝をふく中へのみこみし
事はゆめにもしらず、ひとり事をいつている

「おらがとなりの京伝は
さりとはべらぼうな男だ
又四五日出てうちへかへらぬさうだ
ばかにつける
くすりがないとは
よくいふたものじや
となりのせんぎで
ァァづつうがする

「しかるに京伝がからだ
まめ人ぎやうのごとくに
なり、無二郎がふき
出したるたばこの
けぶりにつゝまれ
無二郎がからだの
うちへはいりけるぞ
ふしぎなり

「ハイ
ひへ
もの

ござい

めん

さい

「いま/\しいやつだ
おれが事を
くそのやふに
いやァがる
くさめ/\