川、濁らぬ水の清水坂。二条、七条、八坂の前、またも遊びにかうだい寺、嵐になびく柳風呂。壬生、天龍寺、御㚑の前、西石垣のはてまでも、其よし芦は難波津に、今を春べと盛なる、松、梅の全盛は新町に色香をあらはし、白人芸子の今様めけるは、南北に風情をたゝかはす。ねたみ曽根崎、島の内、恋の坂町登詰、隠せど出[づ]るいろは茶や、ちりぬる客をつり寄[す]る、目もとの塩町こつぽりと、たまらぬ味の安治川に、深くはまりし堀江大路地、次第に高津新地より、我を忘[れ]て神明前、何ほど広きのど町でも、柳小路と身はせまり、何としやうまん一家には、
七里けんぱい八軒屋、我身の難波新屋敷。れいふ、尼寺、真田山、浮名をかぶる編笠茶屋、穴に間近き臍が茶屋、六拾四文あり合町。ぜうゆうじ、福ぜんじ、裏/\に住[む]夜発の繁昌、そふじや境に千守より、奈良の木辻に登[り]詰[め]ては、身代をたゝき込[み]、撞木町から墨染の、花なき枝の柴屋町、室津の泊、鞆、をのみち。みたらい、からうと、上の関、行来のなまりには、さりとは安芸の宮島に太夫の全盛。後から指懸られし鵲の、渡せる橋におく下の関、恋に跡先しらぬ火の、つくしに遊ぶ浦/\は、博多、鳴子に馬の庄、異国の人にもまるれば、角のとれたる丸山に、ちんぷん