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花東はなのおえど頼朝公御入よりともこうおんいり

7

花東頼朝公御入 07

放生会ほうじょうえつる

かくてそうだん
きまりなんでも
丁子屋でひなつるを
はじめつるといふ
名のついた女郎を
のこらす身うけして
深川八まんの神
前にてはなし給ふ
まへどはつるのあしへ
こかねのふだをつけて
はなし給ひしが
こんどはひねつてそれ
そふおふにかた付金をつけて
はなし給ふ大そふな物入さす
がのおゝあたまとみへける
此しゆかうにうけいたされし
女郎左のことし
「ひなつる「八重づる「あやづる「たきづる「うらづる「きくづる
「おりつる「玉つる
「あさつる「さよつる「かむろ つるじ
〆十一人かこをいてたる鳥のことく
それ/\にまんざらでない人の
所へとびゆく

「よりともさんとやらはつうな人さんだね
「もしおいらんへわつちや
どふしんしやうね
まくらの引だし
ゆびのわと
きんかんのほう
づきをわす
れてきん
した
「あやつる
さんおめへは
かわちやの
きやく人

所へ
さだ
めし

ろうね
「すかねへやゑづるさんだよ
そりやァむかしの事たね
いまは外に
山/\さ
あとはもふ
しんす
めへ
「つるじや
はやくこねへ
かよ

「これはおもしろい/\
此てやいもはんからいろ
男をこちの人と
いふたろう

「とてもおはなし
なさるなら
いつてうつゝ
とばして
おはなし
なされば
いゝのに
岩永との