お江戸のベストセラー

花東はなのおえど頼朝公御入よりともこうおんいり

5

花東頼朝公御入 05

不思議ふしぎ隠れ(臥木隠れ)

岩永と俣野は真田がいては何事もやりにくいと思い、頼朝公を言いくるめて御用金を取りに鎌倉へ帰してしまった。
これで二人は、誰はばかることなく頼朝公にいろんなアホウをおすすめし、しょうもない大将に仕立てあげて多くの金銀をかすめ取る。

芸者「オホホ、オホホ、オホホ。」
芸者「これさ、笑いなんすな。」

岩永「これは、奇妙だ。どこに居なさるか知れません。ここかしら、ここかしらん。」

頼朝「なんと、そうか! 見えまい、見えまい。このあとは、鳩に豆を拾わせるぞよ。」

頼朝公は『楊枝隠れの伝』を習い、これを座敷芸にしなさる。ぜんぜん隠れもしないのに、みなで不思議、不思議と感心すれば、いよいよ調子こく。
これを『頼朝の不思議隠れ』という。

注釈

鳩に豆を拾わせる
頼朝が石橋山の戦いで惨敗して大きな倒木の穴に身を潜めたとき、穴から飛び出した鳩のおかげで敵に見つからずにすんだという逸話による。
楊枝隠れの伝
忍術でツマ楊枝を投げて相手の気がそれた隙に隠れるという「楊枝隠れの術」というのがあるそうです。でも、この絵の楊枝は房楊枝(歯ブラシ)。どんな座敷芸?
不思議隠れ
元ネタは「臥木隠れ」。

材木座書房

ぴーちょ

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