お江戸のベストセラー

花東はなのおえど頼朝公御入よりともこうおんいり

11

花東頼朝公御入 11

頼朝公は、江戸見物に引っかけて悪人どもを片づけ、鎌倉へ帰り、留守を守る重忠へ江戸の土産をくだされた。
上に目録と書いて中身は黄色なものだとおっしゃるので、さだめし金だろうと思って開けてみれば──黄表紙の目録、次のごとし

酉歳とりどし新板目録

孔子縞于時藍染こうしじまときにあいそめ(上中下)

無垢世界むくせかい 縞黄金肌着八丈しまおうごんはだぎはちじょう(上中下)

花東頼朝公御入はなのおえどよりともこうおんいり(上下)

一百三升芋地獄いっぴゃくさんじょういもじごく(上下)

鴫蛤しぎとはまぐり 鳴呼辛気楼ああしんきろう(上下)

版元 大伝馬町二丁目
   大和田安右衛門

追々めずらしき趣向、出板仕り候。お求めご覧くださるべく候。

注釈

黄表紙の目録、次のごとし
頼朝公のおみやげ目録の体裁で新刊本の広告をするという、なんともおしゃれな趣向になっています。
大和田安右衛門
作家として油の乗ってきた京伝を使って黄表紙の出版に乗り出した版元。この広告にある京伝の本はヒットしたが、人気の高い京伝先生の出版権が蔦重と鶴喜によって独占されてしまったため、結局あとが続かず黄表紙から撤退するハメになる。
江戸時代も大衆本が売れるようになって作家の商品価値が高まると、「○○先生の漫画が読めるのは、なんとやら~」みたいなことがあったようです。

材木座書房

ぴーちょ

楽しい鎌倉