富士の巻紙(富士の巻狩り)
江戸見物は、まず吉原からというのが定番だが、頼朝一行はちょっとヒネって深川へ行き、料理茶屋の梅本で大女郎買いを始めた。
ちょうど月見のときで、岩永の悪ふざけで巻紙を積んで富士山を作らせ、たいこ持ちに紋づくしの揃いを着せて──これで『頼朝公、富士の巻紙』とこじつける。
頼朝「こいつは、おもしろい! 岩永、一生のできだ。」
真田「おれにも、ちっと見せな。このネタの芝居だと、おれにはめったに出番がねえ。」
たいこ持ち
「こうしたところは、野郎のとんび凧だ。ブンブンブン!」
「やじろべえもありやす。」
「モシ、いつまでこうしているのだね。」
「深川はじまって、こんなしんどい座敷をつとめた事がねえ。」
芸者「おやおや、けしからねぇ(すごい)なりだの。」