お江戸のベストセラー

花東(はなのおえど)頼朝公御入(よりともこうおんいり)

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花東頼朝公御入 01

▼開

自叙

頼朝公は楽屋での威勢はイマイチだが、その大天窓(おおあたま)(大頭)には貴人の気質がある。そこを見こんだ策略で、あたって砕ける岩永(いわなが)左衛門(さえもん)、俣野(またの)五郎(ごろう)。その悪臣の狙いは金。だまくら山のうそつき夜に浮かし出したる江戸見物。秩父が四相も鼻明(はなあ)いたり。作者の趣向は、花相似(はなあいに)たり、年々歳々、のこのこさいさい──云々。

酉新春
山東京伝 述

注釈

威勢はイマイチ
江戸歌舞伎で頼朝はあまり人気がなかったので、大部屋の役者があり合わせ的に演じることが多かった。
大天窓
江戸では「頼朝の頭はでかい!」という通説があった。
岩永左衛門、俣野五郎
2の注を参照。
だまくら山のうそつき夜
「鎌倉山の星月夜」のもじり。
秩父が四相
畠山重忠(はたけやま しげただ)。
2の注を参照。
花相似たり、年々歳々~
唐詩「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」のもじり。
(毎年毎年、花は変わることなく咲くのに、人の世はなんと変わりやすいことか)