石橋のかつせん
①
かくて、頼朝公は、
きのつまる
重忠を
るすに
のこし
また
おみやげが
いたいから
しよ大名へも
さたなしにて
岩永俣野真田
三人を御ともにて
しごくおしのびにて
江戸へくだり
給ひほどなく
品川のしゆくも
すぎけふは
江戸いりの
事
なれば
いつ
はい
いわいに
のみかけんと
岩永俣野が
はからいにて
高なわの石橋
よろづやへたちより
給ひさけの
うへにて
ゑてきちを
おすゝめ申シ
岩永とまたのは
なれ
あいにて
たつ
を
きり
より
とも
公を
さん/\
にまかし
奉るこれをいまに
よりとも
石橋のかつせん
といふ
②
またのは
大引きにて
赤蔵ぎなり
赤か九のうへに
あるを
なめていたと
じぶくりをいひ
けんくわになる
③
「これ与市
まち
やれ
うへ
が
ま
た
の
か
下
が
また
のか
し
れ
ね
へ
④
「岩永さんそれみねへ
とんだことをいふせこの九は
おれが所へはいるのだェ
きがちがつたそふだ
⑤
「らいちやうの
御ぜんだ
しづまれ/\
の
⑥
「そんなら
まき
なをし
/\
Ⓐ
美人捲珠簾深坐
蛾眉但見涙痕湿