①
ここに
かま
くらの将軍源のよりとも公
四州をおさめ給ひしより
なびかぬくさ木もなく
臣下おほき中にも
岩永左衛門俣野五郎
きみをすゝめ
奉りてはなの
あづまへ御下り
あつて
江戸の
はん
ゑいを
上覧
あらはよいおなぐさみと
そこだくみあるままに
より/\申上ければ
よりとも公きやうにゑどへ
くだるべしとおふせ
いださるゝ
②
「いかに重忠
其方はかまくらに
のこつておれが
るすをかたく
まもれゑて
たびのるすに
女房を
ぬすまれる
ものだ
③
「御両所のおとも
なさるゝからは
御ぬかりはあるまいが
ねんのためさなだの与市を
つけてあげます
④
「さなだの与市は
よりとも
公の
御けらいかの
こいつは
大わらいだ
⑤
「ナンダ
さなだ
三味せん箱を
いわへるもの
じやねへか
「ともには
岩永と
またのを
つれるから
大じやうぶだ
⑥
「ナニサ
しげ印
われら両人も
おともする
からは
ちつとも
すいた事は
させ申さぬ
⑦
「このたびの江戸へ御下りは
大切のぎてこざればせつしやが
おともつかまつり
ましやう
⑧
「こふ上下を
いためつけて
すわつた所がなんとも
くいものはねへの
おいらやつはり
そくにねぎまて
あつがんがてんだ