お江戸のベストセラー

霞之隅春(かすみのくまはるの)朝日奈(あさひな)

12

霞之隅春朝日奈 12

▼開

朝比奈は、小人島の細字と大人国(たいじんこく)の大字で、なんとか損を取り戻したので、背高島を番頭として使い、腹に穴のある人は手代とし、小人島も手間のかからない者なので小僧のかわりにした。大人国(たいじんこく)は、どうも着物を揃えるのも大変で置き所にも困るので、あまり得にはならないと路銀を与えて国へ帰す。

結局のところ儲けというのは、女護島とくろん坊女の二人である。女二人にはさまれ、なにか面白そうな春を迎える。

朝比奈は、二人に左右のヒゲを抜かせ悠々寛々(ゆうゆうかんかん)たる風情なり。
「おれがヒゲを抜いたら、誰も朝比奈だとは思うまい。」

京伝 作

注釈

悠々寛々
のんきでゆったりとした様子。