朝比奈は、小人島の細字と大人国の大字で、なんとか損を取り戻したので、背高島を番頭として使い、腹に穴のある人は手代とし、小人島も手間のかからない者なので小僧のかわりにした。大人国は、どうも着物を揃えるのも大変で置き所にも困るので、あまり得にはならないと路銀を与えて国へ帰す。
結局のところ儲けというのは、女護島とくろん坊女の二人である。女二人にはさまれ、なにか面白そうな春を迎える。
朝比奈は、二人に左右のヒゲを抜かせ悠々寛々たる風情なり。
「おれがヒゲを抜いたら、誰も朝比奈だとは思うまい。」
京伝 作