手長島はもともと手癖が悪いヤツなので、ある夜、体と左手は家で寝たまま、右手だけの黒装束で近所の金持ちの商家に盗みに入った。
すると、この家の女房が美しく寝乱れていたので、手長島はたまらずのぼせ上がってしまう。落ち着こうとして心気を足に下ろそうと思ったが、ここには手しかないのでしょうがない。
その時、亭主が気がついた。
「やれ、バケモノだ!」
手長島はあわてて、宝の山に入りながら手をむなしくして逃げ帰る。
ドロツクツ、ドロツクツ。
手長島「大願成就、片腕ない。」
亭主「さても、さても、長い手だ。『長手おの字の名をついで』だ。」