朝比奈は小人島の細字から思いついて、こんどは大人国を使って百畳敷きの大字興行をしようと、鎌倉中に広告を出した。
やがて建長寺の庭で、大人国に風雅の「雅」の字を百畳敷きの紙いっぱいに書かせると、鎌倉中で大評判となり、われもわれもと見物客が押しよせた。朝比奈は席料をうんとこさというほどせしめ、これでやっと損金をまかなう。
大人国「書法では、ここがこう…エエ、ややこしい。」
客「これは、なかなか人間業ではない。大仏でもかなわぬ。」
客「ヤンヤ、ヤンヤ……これではどうも三味線をほめるようだ。」