お江戸のベストセラー

霞之隅春(かすみのくまはるの)朝日奈(あさひな)

11

霞之隅春朝日奈 11

▼開

朝比奈は小人島の細字から思いついて、こんどは大人国(たいじんこく)を使って百畳敷きの大字興行をしようと、鎌倉中に広告を出した。
やがて建長寺の庭で、大人国(たいじんこく)に風雅の「雅」の字を百畳敷きの紙いっぱいに書かせると、鎌倉中で大評判となり、われもわれもと見物客が押しよせた。朝比奈は席料をうんとこさというほどせしめ、これでやっと損金をまかなう。

大人国(たいじんこく)「書法では、ここがこう…エエ、ややこしい。」

客「これは、なかなか人間業ではない。大仏でもかなわぬ。」
客「ヤンヤ、ヤンヤ……これではどうも三味線をほめるようだ。」