手長島は、転んでもただでは起きないヤツなので、朝比奈の家を出がけに近所のお寺の半鐘を盗んで行ってしまった。
お寺では、いろいろウワサしている。
「昔から背の高い者を “半鐘泥棒” と言うので、これはきっと朝比奈殿のところに居候している背高島の仕業にちがいない。」
てなわけで、坊主たちが文句を言いに来た。
あさ印、困りはてる。
「この背高島は、そんな悪いやつじゃござらぬ。それはきっと手長島の仕業だろう。それでも、どうも仕方がねぇから、半鐘は弁償しましょう。それと背高島も、今後そんな疑いをかけられないように人並みにしてやります!」
そう言うと朝比奈は、背高島にザルをかぶせた。
朝比奈「丹波の国から生け捕ったヤマアラシでござい。このザルを見ると、ソレ逃げ出すわ。逃げるヤツには尻へ釜をぶっつけるぞ。
ハイ、ハイ、お釈迦さまのご誕生!ご誕生!」
背高島「高尾太夫の身請け金は背の高さほども積んだというが、おれの背の高さまで積んだら大騒ぎだ。」