朝比奈一行は、ほどなく鎌倉へ着いた。
みんな冗談のような連中なので、なにか面白い使い道があるだろうと、朝比奈はいろいろ思案する。
まず、腹に穴のある人を裸にして剣菱のむしろを巻き、口から酒を注いで腹の穴へ呑み口をつけて酒樽の代わりにした。
朝比奈「『鼻の穴へ屋形船を蹴こむ』とは助六の悪態にもあるが、『腹の穴へ呑み口』とは新しい。」
手長島「親方、これは妙案です!」
穿胸国「ああ、こいつは切ない役目だ…。」
そういえば、
『わが心 開けて見せたき折々は 胸に穴ある島もなつかし』
という狂歌を思い出した。