お江戸のベストセラー

霞之隅春(かすみのくまはるの)朝日奈(あさひな)

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霞之隅春朝日奈 01

▼開

それ、猟師の佐次兵衛は四国をめぐって猿となり、小林の朝比奈は異国をめぐって、猿隈(さるぐま)でその名をとどろかす。
着物の鶴の羽かき合わせ、力自慢の肘を張る(春)の日、朝比奈はふと思いつく。
「もう一度異国へ渡って、こんどは異人を日本へ連れて来たら大ウケだろう。こいつは新しい!」
てなわけで、さっそく用意を始めた。

世の中に寝るほど楽はなきものを、いらぬタワけが起きて働く

樽を枕に朝比奈は、寛々(かんかん)(ゆったり)とこそ伏しにける

注釈

佐次兵衛は四国をめぐって猿となり
猟師の佐次兵衛が、罪滅ぼしのため四国を巡礼し、最後は猿になったという伝説。
小林の朝比奈
朝比奈義秀。トップの解説参照。
猿隈
歌舞伎で朝比奈が用いる隈取。
鶴の羽
歌舞伎で朝比奈が用いる紋は、羽を広げた鶴紋。
→『小林の朝比奈』豊国 画