朝比奈は、異国の人を連れて来て銭儲けしようとたくらんだが、長旅の旅費や手長島の騒動、日々の雑費などで結局大損をこいてしまう。
小人島は、小さき心ながらこれを気の毒に思い、鎌倉の雪ノ下に見世を出して、米粒に三社の託宣、粟粒に六字の名号(南無阿弥陀仏)、青豆に漢詩の五言絶句、一寸四方の紙に百人一首などの細字を書いて売り出した。これが鎌倉中の評判となり、大きに銭を儲けて少しは朝比奈の損を埋める。心優しき小人島である。
朝比奈「細字は、なんでもお好みしだい書かせます。」
客「八幡さまのお宮は、よくできましたそうでござりますね。」
客「一昨年、葺屋町の河岸へ出た小人島は、このおふくろだということだ。」
客「これは、珍しいことじゃ。」