こうして朝比奈は再び異国へ渡り、異形の人をそれぞれ一人ずつ日本に連れて来た。
異形の人というのは、「大人国」「小人島」「背高島」「手長島」「女護島」「くろん坊女」。それと「穿胸国」といって腹に穴が開いた人の総勢七人である。
一行は、まず長崎に着き、急ぎ鎌倉へと向かう。
朝比奈は、どういうわけだか女護島とくろん坊の女には日本風の格好をさせている。これは思うに、絵草紙のことを心得た朝比奈の絵柄の面白さをねらった気づかいであろう。
小人島が大声で叫んでいる。
「これ、大人国、もちっと離れて歩いてくだせぇ! これじゃ私があまりに小さく見える!!」
しかし、大人国の耳には蚊のなくほどにも聞こえていない。
大人国は万八(嘘っぱち)を言う。
「みんなには見えめぇが、おれにはもう鎌倉が見えるわ。ツツテン、ツツテン。」
背高島「私がお供するからは、川留めの心配はいらねえのさ。」
女護島「わっちとおまえが、こう連れだっていると、まるで笠森の米の団子と土の団子だね。」