女護島と朝比奈が差し向かいで真面目な話をしていると、急に吹いてきた南風のおかげで女護島が突然色気づいてしまった。女護島は、おこし飴のようにトロけだし朝比奈にせまってくる。
女護島「これ、朝比奈さん。私になびいてくださるなら、かたじけ長押の薙刀だ。水車のように所帯を切り回すぞえ。ほんにおまえは、鬼か人か。」
朝比奈「三才図会に『女人国、南風に裸形で当たれば孕む』とあるが、これほどとは思わなかった。キッカイなことがあるものじゃ。」
女護島「恥ずかしいこったが、生れて初めてそんなクドき文句を聞いた。」
朝比奈「べらぼうめ! クドいてるわけじゃねぇ。ああ、息せんな、鼻息で吹き飛ばされる、ああ、くさい!」
女護島「ゆるしてくれ、ゆるしてくれ!」