お江戸のベストセラー

霞之隅春かすみのくまはるの朝日奈あさひな

3

霞之隅春朝日奈 03

あさいなほどなく
かまくらへつきけるが
一たいひやうひやくもの
ゆへ此八人のてやいを
おもしろくつかひ
みちがありさう
なものと
いろ/\
あんじてまづ
むねにあなのある国の人を
はだかにしてけんびしの
こもをきせ口からさけを
つきかのむねのあなへのみ口
をつけ酒たるのかわりに
用ゆる

はなのあなへやかた舟を
けこむとは介六があくたひ
にもあるがはらのあなへ
のみ口とはあたらし
からう

おやかたこれは
妙案で
ござり
やす

アヽ
こいつは
せつない
やくめた

狂歌に
「わが心あけてみせたき
をり/\はむねにあなある
嶋もなつかしといふを
おもひ出す