※本文の赤字部分は、早稲田古典籍総合データベースで補完しています。
①
にようごの嶋は
いけでつかはるれ
ともつぶしに
してもかた
いきな
やつはくろ
んぼうの
女
也
どふぞ
しかたがあり
さうなもの
と思ふ
うち
此ころ
所々へかんはんを出し
たるおらんだ傳の
あらひこをつかはせ
ければふしぎややみ
のよに月の出たるご
とくうら嶋が玉手
箱をあけたるがことく紺
屋のはかまこなやのねずみと
きてたちまち白くなる
「生れかはつたやうだそふした
所はまんざらでもねへ
②
「これは
/\と
ばかり
かほのよしの
くずきれい/\
③
あんまりほめて
くんなさん
なゆめだも
しれねへ
「さう半ぶんあらつた所は二朱みせ
のしるしといふものだ
④
手長嶋は
酒ずきゆへ
あるよ朝いな
のるすをさい
わいさかだるの
よくねいつたたる
をみすましをく
ざしきより
さかべやまで
さぐつてのみ口
をねくこつちは
ふつとめがさめにくさも
にくしとのみぐちを
おさへ折ふし小べんが
でさうゆへさけと
みせてちやわんへ
小べんをしこむ
手長嶋はしすまし
たりとかの小べんを
さけとおもひぐつと
引かけけるぞこゝちよき
「此ごろはちと熱が
あるから古酒と
いふ小べんのいろだ
⑤
或人曰
さけの出るをとは
ドク/\といふ
小べんの出るおとは
シヤア/\といふ
ぐあんするに
あたかのうたひに
ドクシヤの
口をのがるゝ
とは
此事か