お江戸のベストセラー

悪七変目あくしちへんめ景清かげきよ

10

悪七変目景清 10

頼朝公は景清の目玉に忠義を感じて、目玉を長く重忠に預けなさった。
頼朝「英雄の目ん玉は、武門の宝なり!」

やがて騒動も収まり、めでたき御代となる。
日向勾当ひゅうがこうとう(景清)は、山中の住まいなので正月がきたのも知らずに暮らしているが、目だけは鎌倉の御所で春を迎えさせ、目の正月をさせてやる。

頼朝公は、目玉騒動が収まると「め」という字を七つ書いて茅場町の薬師へ奉納なさった。これが『七つ目御運の守』の始めである。

頼朝「その方の素襖すおう(礼服)の紋所を見ると、竹屋の歌菊を思い出す。」

<奉納紙>
御えと
めめめめめめめ

注釈

目の正月
よいものを見ること。目の保養。
茅場町の薬師
茅場町の智泉院(お薬師様)。眼病にご利益がある。
七つ目御運の守
生年から数えて七つ目の(十二支を円形に並べたとき対面になる)干支で縁起をかつぐ民間信仰。
竹屋の歌菊
吉原・竹屋の筆頭女郎。
京伝先生の知り合いは、ほんと遊女ばっかだね。