当月は、岩永の月番。
配下の役人が景清の「目姿」を持って鎌倉の町人へ協力を申しつけている。
役人「急に目のあいたヤツがいたら、召し連れてこい。そのほか、アヤしげな目をしたヤツにも気をつけること。大切な目しうど(囚人)だ。かならず取り逃がすまいぞ。
こちらは詮議の役目、その方どもの目代(代官)、いずれも目に縁のあるやからだ。岡目八目と言うから、言いつけるおいらより言いつけられるおまえらの目の方が確かだ。」
町人「めくらで急に目のあいたのはござりませんが、町内の道楽息子が親から勘当くらって、このごろよく目の覚めたやつがいます。こいつも召し連れましょうか。
それと近所の芸者が、なんとも色目を使ってきて…もう…たまりません。こいつの目もアヤしげです。」
町人「ハイハイ、かしこまりました。どうも目薬の看板とまちがいそうです。」