消えぬたよりも風なれば
消えぬたよりも風なれば
露の身いかになりぬらん
さて、寿永三年三月下旬の屋島の戦さに敗れてから、平家の侍、悪七兵衛景清は世を忍んで頼朝公をつけ狙っていたが、やがて頼朝公の情にうたれて観念し、「源家の繁栄を見るのも口惜しい…」と自ら両眼をくり出して盲目となり、宮崎に引っ込み日向勾当(盲人の官職)となる──と書いたところは、どんな真面目な作だと思うだろうが──次をあけてみな。
景清「こうなってみれば、また、なかなか味気ある世の中じゃナァ。」