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悪七変目あくしちへんめ景清かげきよ

9

悪七変目景清 09

景清が両がんはいかにもしてよりとも公の
御前へちかづかんと思ふ折し近日さかみ
川のはしくように御出馬あるよしをきく
御馬やへしのびこみ御めしのいき馬の目
をぬきそのあとへはいり道ニてらく馬
させたゞ一思ひにけころし目をおど
ろかさんとあれにあれ目ざましかけ
ける所へ重忠くわい中より日向
勾当のくわん金五百両のしやう文
をあれたる馬の前へさしつけていわ
くその方かくまでよりとも公を
うらみ奉れどもかげ清をこう
とうになし給ひふちをくだ
されて宮さきにらくいんきよ
をさせ給ふづきん紫の衣かた
しゆ木のつゑあたまのぎり/\
よりあしのつま先迄君の
御仁心のいたらぬ所はなく此
代金つもつてつがう一千両此
金を今かへすかよりとも公のゑぼし
くびをうけ取るかサア/\どふだ/\
なんとこれでは目が出よふかな十両や
二十両の目くされ金てはねへぞや

「かげといふも馬の名
清しといふも月毛の
ゑんといふことのしやうか
を今さとつてはおそ
まきだ

「扨はかげ清
を勾当に
なし給ひ
しもより
ともの御仁
心かそうとは
しらずうらみ
しは此両がんの
目がねちがひ今
千両といふ金を
だせときいてはアヽ
目がでる/\と此馬
ものをいふかと思ひしが
たちまち両がんとび
いだしける是目がでるの
はじめなり

「おれが目のくろいうちは
なんとしておよはぬ事/\

材木座書房

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