祐経どのは、大頭のことを近江と八幡に申しつけた。二人はいくら探しても、なかなか主人に似た大頭が見つからなくて困っていたが…ふと思いつく。
「どうも、おらが旦那は親玉に似てござる。」
てなわけで、『暫』の大頭を取りよせ持って来た。
八幡「これにて、おん間に合いんや!」
祐経「他になければしょうがない。その赤い筋は俺には似合うまいが、今から作らせても急にはできまいから、まず、それにしておこう。」
近江「八幡の旦那のお約束の口上ですが、あとの地口がでません。」
祐経「似たわ、似たわ。」
近江「わたくしなぞは、ひとつや二つでは足りません。せがれたちにも用意してやらねばならず、近ごろ、頭、頭とやかましくてたまりません。」
祐経「その方たちも、こしらえずばなるまい。心がけあれ。ちっとずつなら助けてやろう。」