梶原平三は年寄りの貧乏性なので、なるべく銭金のかからないようにと、朝比奈を連れて浅草茅町のおもちゃ屋を物色している。
梶原「どうだ、その座頭の大頭にヒゲでもつけたら、間に合いそうだ。」
いくら探しても、岩永左衛門ぐらいの大頭はあっても、梶原の白髪頭はさっぱりなし。しかし、この歳で今さら新しく作らせるのもバカらしく、なんぞいい手はないかとケチなことを考えている。
手代「朝比奈さまのはござります。ご覧ください。しかも、できがようござります。」
朝比奈「よしよし、それはいくらだ。百文か。よし、なんの得にもならないものに銭がでる。」