お江戸のベストセラー

鎌倉かまくら頓多意気とんだいき

2

鎌倉頓多意気 02

畠山どのは、家臣の本田と榛沢はんざわを使って、君からの命令を諸家へ知らせてまわらす。

重忠「どうだ、本田、榛沢はんざわ。君が仰せのことは言うまでもない──大頭だ。方々まわって、よいように知らせてもらいたい。」

本田「いっそのこと一枚ずりにして、お配りなさるのがようござります。ちょっと、誰ぞに狂歌でも詠んでもらいましょう。」

重忠「俺もデカくしなければなるまい。おぬしたち、めんどうだが帰りがけに人形屋へ寄って、大頭を見つくろってきてくれ。」

注釈

本田と榛沢
本田親恒(ほんだ ちかつね)と榛沢成清(はんざわ しげきよ)。どちらも畠山重忠の重臣。
一枚摺
狂歌の摺物。狂歌を刷った一枚絵を配りあって仲間内で愉しんだ。