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若江島(和賀江島)・由比若宮
それから浜に出ると、光明寺▲、六角の井▲がある。さらに飯島から小坪道に入ると若江の島▲が見える。波打ち際にいろいろな形をした岩がたくさん並んでいて面白い。
由比若宮▲は、むかしこの地にあった鶴岡八幡宮を頼朝公が今のところにうつしなさり、そのあとを若宮としてお祀りしている。きわめて絶景のところである。
狂歌
こゝにきて じゆめうのびたる こゝちせり
いつもわかえの しまのけしきに
ここに来て寿命延びたる心地せり
いつも若江の島の景色に
旅人「モシモシ、ちょっと聞きたい。わしのくせで、美しい娘の給仕でなければ飯が食えぬが、どうだ、このあたりによい娘のいる旅籠があれば、教えてくだされ。」
村人「美しい娘なら、この先の大きな家へ泊まりなさい。あすこの娘に給仕をさせたら、さぞかし飯が美味く食えましょう。」
旅人「それはうれしいが、その家は旅籠でござるかの。」
村人「いやいや、宿屋ではない。お大尽(金持ち)の家だから人は泊めまいが、
『行き暮れて難儀しております。どうぞ、泊めてください。』
とたのんだら、もしやお情けで泊めてくれるかもしれん。筵でも敷いてもらって、娘に給仕させるかわりに娘の食い残しでも貰ってあがりなさい。そのかわり、お情けで銭は取らず、ただで泊めてくれるでしょう。」
旅人「そんなら、ただで泊めてくれるなら銭がかからんから、娘の給仕よりそっちにしよう。」