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方言修行むだしゅぎょう 金草鞋かねのわらじ江之島鎌倉廻えのしまかまくらめぐり

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雪の下・段蔓

ゆきした段蔓たんかつら

かまくらさうしうかまくら
こほりにありかまくらのさと
ともいふ八まんくうのまへの
まちをゆきの下といふちやや
はたこやおほしかまくらいつけんの
ひとはこゝにてあんないをとりて
よしだんかつらといふにいちの
とりゐありこれよりはまべ
まて二のとりゐ三のとりゐ
ありひわはしありこのへん
たかうぢのやしきあとほんかくじ
みやうりうじしんわうやしきあとあり

狂歌

出来秋のいねをかるてふ
      かまくらや
これほうねんのゆきの下町

「さて/\これはこまつたことをした
わしはあとのたてばへかんじんのすいつゝを
わすれてきたとりにもどるにはこれから
またいちりばかりもあとへかへらねは
ならずひとをたのんでとりに
やればせにがいるはてこまつた
ものだおもひきつてひとをたのんて
やらうかたゝしはおれがとつてこやうか
これはどうしたものであらう

「もし/\おまへのわすれたと
いひなさるはこのすひつゝの事かへこれは
わたしのすひづゝだから今わたしがあとへ
もどつてとつてまいりました
「さてはおまへのすひづゝであつたか
それでわたしはおちついたそれが
ひよつとわたしのすひづゝかと思って
さつきにから大きにきをもんだが
おまへので
よかつた/\
「これはおかしやおまへので
よかつたもおしのづよいおまへは
げこてさけはきらひでゐながら
どうしてこのすひづゝをもちな
さるものか
「それ/\よくかんがへて
みればわしはさけはきらひで
あつたにそこにはさつぱり
きがつきませなんたゆうべ
のやどでもふんどしをほした
なかでけさわすれて出やう
としてたちしなにきがついて
すぐにとつてたもとへいれて
出かけみるとふんどしはひとつ
しめてゐるものをこれはしたり
これはひとのであつたそゝうな
事をしたと思ふところへあと
からおつてのものがきてくせ
ものまておいへのてうほうけんじ
のしらはたをうばひとりたるくせ
ものそう/\こつちへわたせといひ