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方言修行むだしゅぎょう 金草鞋かねのわらじ江之島鎌倉廻えのしまかまくらめぐり

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長寿寺・明月院

長寿寺てうじゆじ明月院めいげついん

てうじゆじかめがやつにあり
ほうきざんといふみなもと
のもとうじこうの
こんりうむかしは
がらん大てら
なりじやう
ちじは
かまくら
五さんの
四ばんめ
なりかい
さんはそうの
ぶつげん
ぜんじ
ほんぐはん
はたいらの
もろとき
なりこの
むかひにめい
げついんと
いふありうへ
すぎのりかた
のこんりう
このうへの山を
六こく見と
いふこれより
見わたせば
あわかづさ
むさししもふ
ささがみいづ
の六こくひと
めに見ゆる
といへり

狂歌

けいだいのきれいさ
ほうきざんなれば
ばくばかりなる
どうのほりもの

たび人
「かみがたのはたごや
には五うへもんぶろ
いふがあつてわるくする
とそこいたがういて
あるからそれをとりのけ
てはいつてじきにかま
でやけどをするがゆふべの
やどもそのすいふろでこまりはてた
「わしはまたいなかへいつたときすいふろへいつた
ところがあんまりぬるいからこれ?ちつとゆのした
をたいてくだされといふとやどのおとこがかしこまり
ましたといつてわらであみたてたおはちのふたの
やうな大きなものをもつてきてわしのはいつている

あたまの
うへからかぶせる
からこれはどうする
のだといふとすい
ふろにふたを
してたき
ますといふから

まつてくださいそのふたをあたまから
きせられてひをたかれたらゆでころさ
れるであらうといふとその男がいや/\
このふたのあなからくび
をだしておいでな
されと
いふから
よく/\
見ればそのふた
のまんなか
にくびを
だすほど
のあながあいている
ゆへからだはよいふろ
にいりてゐながら
ふたをしてふたのあな
からくびばかり
だしてゐる
その
おかしさ
ごく
もん

やうだと
大わらひしたが
あるくといろ/\な
事があるもので
ござります

「しゝ
まいが
きた
しゝの十二
もんで
まつて
くだ
さい

「ゑどへいつ
たら京ばしの
みなみ
てんま
丁の



かう

かつて
きて

くれと
となりのむ
すめにたの
まれたから
かつて
きてやらずば
なるまい