お江戸のベストセラー

大悲千禄本だいひのせんろくほん

3

大悲千禄本 03

いばらきくわんのんの
うでをかりけれども
けのないうではもちいられず
かんだのだいの
よきちをたのみ
けをはやしてもらふ

このせつしゝの
けはきれもので
ござるから
しかのけで
つけました
しゝのけなれば
あたごやま
しかのけなれば
かすがやんまへ
御出なさい

よきちが
にようぼ
いばらき
さんじや
きが
ない
/\よ

わた
くしが
さい
などは
たゞ
いま
では
むじや
/\と
はへ
ました

あさまやまから
ふつたのではないか

たゞのりのうちおとされたは
みぎのかいな たゞのりすこし
せきこみたまひ あまりの
うれしさ やつぱり
ひだりのてをかりて
きたまひ
さゞなみやのたんじやくも
ひだりもじにでき
これはどうだと
みぎのてを
かりにやり
給へば
もはや
かし
きりて
ない
との
こと
たゞのり
いまはかなはじとや
おぼめし
ひだり
の御てにて
むだ
がき
をし
給ひ
にしにも
かまわず
これはしまつた
なんまみ
だぶつ/\と
ねんぶつを

となへ
給ふ

これについても ろくやために
きられたうではモウ
しなびたかしらぬ

ぐわいぶんが
わるい
よみ人
しらずと
やらかして
おこう

(鏡文字)
行きくれ
てこの
した
かげを