千手観音といえど不景気には勝てず、千の御手を貸し出すことにしたのは、なんともお気の毒なことである。
よほど、せんじゅ詰めたのだろう。
一本一両、合わせて千両の手切れ金で、面皮屋千兵衛という食わせ者とその手代、てれめんてい兵衛が千手の御手を切り取っている。
千手観音
「はじめの三本まではこたえたが、もうイタくもない。悪い手があってもお金は返さないよ。」
てれめんてい兵衛
「こちらのほうは、バラすのにだいぶ手こずりました。」
手切り金の千両箱。