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お江戸の鎌倉

三升増鱗祖

みますますうろこのはじめ

著・画:恋川春町(こいかわ はるまち)
 刊行:安永六年(1777)(底本は昭和二年)
 版元:鱗形屋孫兵衛(底本は米山堂)
 底本:国立国会図書館デジタルコレクション『三升増鱗祖 上』『三升増鱗祖 中』『三升増鱗祖 下

国立国会図書館デジタルコレクションにあるオリジナルの鱗形屋版の状態があまり良くなかったので、底本には、昭和二年刊の米山堂べいさんどうの複製本を使用しました。

解説(まず、こちらをお読みいただけるとうれしいです。)

<解説>

作者、恋川春町こいかわはるまちは、江戸中期の戯作者です。
安永四年(1775)に発表した『金々先生きんきんせんせい栄花夢えいがのゆめ』という作品で大人向け絵草紙のジャンルを開拓し、のちに江戸で大ブームを起こした「黄表紙」の創始者とされます。 浮世絵師の鳥山石燕とりやませきえんに学んでいるので、自ら絵も描きます。

三升増鱗祖みますますうろこのはじめ』は、そんな春町の作品の中でも変わり種といえます。この作品は、版元である「鱗形屋うろこがたや」と、その隣りにあったもぐさ店「三升屋みますや」を宣伝する広告本なのです。しかも、広告本でありながら一般本として販売されました。

お話は、伊豆に流された頼朝を鱗形屋と三升屋が助け、北条政子との仲を取り持って、やがてその功績で江戸に大店を構えるという、架空(妄想)サクセスストーリーです。最後に思わぬ方法で「鱗形屋 vs. 三升屋」の合戦が始まるというバカな展開もあります。

恋川春町というビッグネームの作ではありますが、商店の宣伝本なので、この作品が現代の黄表紙研究で注目されることはまずありません。ですが、逆に広告と割り切って読めば、荒唐無稽で馬鹿ばかしい商店の縁起話は、現代のストーリー仕立てのテレビCMにも通じる面白さがあります。 それに、なんと言っても、頼朝少年や政子姫などの春町流キャラがとても魅力的なのです。

頼朝少年
頼朝少年。
政子姫
政子姫。
池洲稲荷
頼朝を導く池洲稲荷。頭のキツネに目がクギ付け。

美形の頼朝少年と政子姫にキャラ萌えしながら気軽に楽しめる絵草紙です。

材木座書房

ぴーちょ

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